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昼食2
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お弁当箱を開けると、先輩が興味深そうに覗き込む。
「お前の母ちゃん、料理上手いんだな。美味そう」
「えっ、えっと、これ、実は」
実は僕が作ったんです、なんて言ったら引かれるかな?
男のくせに料理研究部出身とか、笑われてしまうかもしれない。
「もしかしてこれ、お前が作った?」
「えーと、」
「そうだよ。郡山くんはいつも自分でお弁当を作ってきてる。偉いよね」
「は、遥先生!」
まさかの人に暴露されて、顔が赤くなる。
4月にお弁当の話題になった時も、僕は馬鹿にされた。男のくせにって。
だからきっと、立山先輩にも笑われてしまう。そう思っていた。
「お前すげーじゃん!」
「へっ?」
先輩の反応は予想外だった。
「この卵焼きも、ウインナーも、炒め物も、全部お前がやってんの?すごすぎ」
「どっかの誰かさんは弁当箱を洗いさえしないからね」
「うっせえよ一兄。俺は部活が忙しくて…」
「郡山くんも同じ部活だけど?」
論破されたかのように、立山先輩は黙ってしまった。
ていうか、
「どうして先輩は、遥先生のこと一兄なんて呼んでるんですか?」
「ああ、俺ら従兄弟なんだよ」
「えぇ!?」
先輩はさらりと流すようにいうけど、びっくり。
だって、優しそうな遥先生と厳しい立山先輩、全然似てない。
「似てないってよく言われるけど、僕とナツは正真正銘従兄弟同士だよ」
「なつ?」
「夏彦だからナツ。名前だけは可愛いでしょ」
ふふっと笑う遥先生につられて、僕も笑ってしまう。
確かに、ナツって響きは可愛い。
「ほら、郡山くんも呼んでみなよ。ナツ、かわいーい」
「な、なつー」
「おい郡山、先輩舐めてんのか」
そういう先輩も、顔が笑ってる。
僕と、遥先生と、立山先輩、みんな笑ってる。
こんな風に普通に喋って笑う昼休みなんて、いつ振りだろう。
本当に、お腹の底から笑えてる。幸せ。
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