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教室登校2
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昼休みになると、僕の居場所はなくなる。
午前の4時間の授業で真っ白になった黒板消しを、岡田くんのグループの人たちから投げつけられる。パイ投げみたいに顔に押し付けられて、吸ってはいけない味がするチョークの白い粉を大量に吸い込んで、息ができなくなる。思わずむせると、みんなが笑う。
「真っ白になっちゃったじゃん。かわいそぉ。これで拭いてあげなよ」
そういって滝沢さんが持ってきたのは、水を染み込ませた雑巾だった。痛いくらいに顔をゴシゴシと擦られて、皮膚がヒリヒリしていくのを感じる。
なんの声もあげない僕に飽きたのか、岡田くんたちの狙いは僕の物の方に行った。
「これも汚くてくせぇから拭いてあげようぜ」
「あっ、それは。や、やめて!」
お母さんが中学生の時に買ってくれた、大切な大切なペンケース。
汚い雑巾でゴシゴシと擦られて、床に落とされ踏みつけられて、ペンケースが踏みつけられるたびに僕のこころにヒビが入る音がする。
ごめんなさいお母さん。
クリスマスの日、高校受験頑張ってねってプレゼントしてくれたペンケースを。
お母さんが一生懸命選んでくれた時間と心のプレゼントを、こんな風に壊されたりしてごめんなさい。
僕が弱いせいで、僕のせいで、本当にごめんなさい。
心の中で、何度も何度もお母さんに謝った。大切な思い出の詰まった物を壊されるくらいなら、僕が壊される方がマシだと本気で思った。
こころは悲鳴をあげていたけど、こいつらの前で泣いたら終わりだと思って必死に我慢した。
あとで、雑巾に染み込ませたのはトイレの水だと聞いて、何度も何度も吐いた。
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