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教室登校3
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何度も、学校を休んで不登校になることを考えた。
でもそれはできなかった。
「遥、最近元気ないけど大丈夫?学校で何かあったの?」
「ううん。学校は楽しいよ。ちょっと疲れてるだけ」
お母さんに、こんなみじめな僕を知られたくない。
息子はクラスでいじめられていて、あなたがせっかく選んでくれたペンケースや買ってくれたノートもボロボロにされてしまったんですよなんて、言えない。
絶対、言えない。
なんとなくつけたテレビで、いじめを苦に自殺した高校二年生のニュースが流れた。
それを見てお母さんは、可哀想ねぇととても辛そうな顔をする。
「遥も、もしいじめられたら逃げていいんだからね。お願いだから、自殺なんてしないでね」
「うん。そもそも学校楽しいし。お母さん残して自殺なんてするわけないよ」
きっと、お母さんは感づいてる。
最近殴られたり蹴られているせいで体のあちこちが痛いこと。
ボロボロになったペンケースを、新しいものに取り替えたこと。
人からのプレゼントや大切な物は学校には持って行かなくなったこと。
なんとなく、気づいてるんだ。
再度ニュースの画面を見て、本当に可哀想とお母さんがつぶやく。
ねぇお母さん、僕は普通の子です。
不登校になったり、自殺したりするような、そんな可哀想でみじめな子ではありません。
お願いだから、気づかないで。
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