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教室登校5
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そんな生活がしばらく続いた、7月のある日。
その日僕は、のみーに昼休み呼び出しを食らっていた。
職員室に向かいながら、実は少し期待していた。
岡田くんたちが僕にしたことに、先生はやっと目を向けてくれたんじゃないか。僕が今どうしようもなく辛くてしんどいこと、気づいてくれたんじゃないか。もしかしたら、先生が岡田くんたちを怒って僕へのいじめがなくなるんじゃないか。
そんな甘い期待を、していた。
「失礼、します」
「遥、こっちだ」
先生のところまで行って、向かい側の席に腰を下ろす。
さぁ、はやく言って。「もしかして遥は、光たちにいじめられてるんじゃないか?」って、言って。
でものみーは、そんな僕の淡い期待を粉々に打ち砕いた。
「遥、お前最近授業態度が悪いぞ。忘れ物ばっかりして」
「えっ?」
「まさか教科書失くしたのか?そしたら買い直しだぞ」
先生、なんで今になってもなお知らんぷりをするの。
「そんな忘れ物ばかりしていたら、将来」
「違う!僕のせいじゃない!」
バンっと膝を叩いて、立ち上がる。
「先生、絶対気づいてるでしょ。ねぇ気づいてるよね?僕の机に死ねって書かれてること、僕の教科書やノートが水浸しで捨てられてること、僕がみんなから悪口言われてること!知ってるのにどうして!どうして知らないふりするの!」
のみーは、目をまん丸にしていた。
大きな声で叫んだから、僕の言ったことは職員室全体に聞こえてしまった。
でも、それでいいんだ。
僕はのみーだけに言ってるんじゃない。職員室にいる先生全員に言ってるんだ。
「教科書がないのは、僕のせいじゃない。捨てたやつが悪い。あいつらが悪い!」
「分かった。分かったから落ち着け遥」
「落ち着いてなんていられないよ!先生たちみんな、どうして知らないふりするの。どうして誰も助けてくれないの」
言いながら、ぽろぽろ涙が溢れてくる。
のみーは僕を座らせて、そして頭を撫でた。
「ごめんな遥。先生知らなかったんだ、本当だぞ。知らなかった先生も悪いけどな、何も言わなかった遥も悪かったよな?でも、今遥が勇気を出して教えてくれたことで俺は気づけたし、遥はきちんと自分の意見を言えた。これでおあいこでいいか?」
信じられなかった。
ここにきて、まだそんなこというのか。どうして、知らなかったなんて言えるんだ。
どうして、僕まで悪者にされないといけないんだ。
「もう、いいです」
職員室をでて、行くあてもなく走っていった。
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