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デート予行6 夏彦side
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震えながら、それでも懸命に俺に伝えようとしてくれる郡山をみて、泣きそうになった。
とても痛々しくて、抱きしめたら壊れてしまいそうなほど儚げで。
辛かったよな。
どうしてもっと早くに助けに行かなかったんだと、後悔ばかりが募る。
「僕が教室に行けなくなった決定的な出来事は、まだ、話せません。すみません。まだ遥先生にも言ってないんです」
「無理に全部話す必要はない。話したいときに話してくれたらいいから」
本当は、今すぐ聞きたい。
聞いて、郡山を傷つけたやつを全員ぶっ飛ばしたい。
大体何があったのかは一兄から聞いていた。
だけど、一兄から間接的に聞くのと郡山本人の口から聞くのとでは、全く違う話に聞こえる。
「で、でも。今僕は幸せなんです。立山先輩と、付き合うようになってから、すごく幸せなんです」
そう言って、本当に幸せそうにはにかむ郡山。
すごく、すごく可愛い。
「立山先輩は、僕がどんな話をしてもバカにしないから。さっきみたいに泣いても助けてくれるし、本当に優しいです。ずっと、立山先輩みたいな友達がほしかったんです!」
「お前先輩に対して友達とはいい度胸だな」
「あっ。えっと、すみません。でも、でも」
「分かってる。訂正はしなくていい」
「はい、ありがとうございます」
俺みたいな「友達」って言われるのがまだ惜しいところだけど、郡山の支えになれているならいいだろう。
何より、郡山本人の口から辛い過去を吐き出してくれたことが嬉しかった。
やっと俺はここまで信頼されたかって感じ。
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