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デート予行7 夏彦side
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辛い記憶を思い出しながら話し終えて疲れただろう郡山に、ストックしてあったジュースを出すと、子供みたいに喜んだ。
「やっぱりジュースはいちごですよね!」
「ん?俺はジュースより炭酸派だけど」
「えぇー。僕炭酸飲めないですよ!」
郡山と2人きりでこんな何気ない会話をする時間が、とても、とても幸せだ。いつもは保健室には一兄がいるし、帰り道も他の下校する生徒の目があってどこと無く落ち着かない。
にしても。
「黒板消しとトイレの水の雑巾って、いくらなんでも酷すぎだろ」
「あー、まぁ。えへへ」
えへへじゃねぇよ。
チョークの粉で本当に呼吸できなくなったらどうすんだって話だよ。
「しかもその野見山っつー担任。俺は知らなかったけど、あんなクソ教師いるんだな」
「知らんぷりするのはのみーだけじゃないですよ。きっと、みんな、僕みたいなカーストの低い生徒のことなんてどうでもいいんですよ」
「俺はお前が大事だ。俺の最優先事項はお前」
本気で言ってんのに、先輩は優しいですねと少し傷ついたように笑う郡山。そんな顔してんじゃねぇよ。
「なら、先輩の最優先がもし本当に僕なら」
そこまでいって、郡山は口を閉ざす。
「なんだよ。言ってみろ」
「え、いやでも。流石に無理だと」
「いいから」
「せ、先輩、留年してくれないかなーって。そしたら僕、来年から同級生に友達ができるし」
すみません、本気で言ってるわけじゃないんです、と頭を下げられた。
「なんだそんなことか。いいぞ、留年してやるよ」
「えっ、なに言ってるんですか!」
「本気だ。俺がお前の居場所を作ってやる」
郡山のためなら、今のクラスメイトと離れたり大会に出れなくなることなんてどうでもいいことだった。それよりも、郡山の笑顔を見れる方が俺の優先事項。
でも、郡山は首を横に振った。
「ごめんなさい先輩、さっきのは嘘です。僕のために留年なんてやめて下さい。だって、先輩成績もせっかく優秀らしいのに」
「まぁ、お前が本気でやめてっていうならやめるけど」
郡山には保健室以外の居場所が必要だと思った。
保健室以外に、こいつが心から笑える場所。
そうだ。いいことを思いついた。
「おい。月曜にお前をいいとこに連れてってやるから、絶対に学校来い」
「いいとこ?」
「そうだ。必ず気にいるから」
そして夕方、郡山を家まで送った後、クラスメートにあるメッセージを送った。
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