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2A登校
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その日はぽつぽつと雨が降っていた。傘をさすかささないか迷うくらいの、弱い雨。僕の心の汚いところを全て洗い流してくれるような優しい雨だな、なんて窓を見ながら思っていた。
遥先生と2人、保健室の奥の席に向かい合って座る。立山先輩がここのドアを開けてきてくれるのを、まだかまだかと待ちながら。
「今日はナツ遅いねえ」
「そうですね。もう今日は来ないのかも」
昼休みが始まってから5分が過ぎている。いつもなら1分以内に来るのに、と少し寂しくなる。
立山先輩はとうとう、僕とここでお昼を過ごすのに飽きてしまったのだろう。きっとそうだ。
「月曜日、いいところに連れていってくれるって言ったのに」
立山先輩は、口だけの人なのかもしれない。
僕は何気に今日が来るのを楽しみにしていた。だって、先輩と約束したから。
お前の新しい居場所を、月曜作ってやる。きちんと待っとけよ。
そう、言われたから。
「ナツがそんなこと言ったの?いいところにって」
「はい、でもきっともう」
「それなら、きっとくるよ」
遥先生は安心したように笑っていた。
「ナツは、好きな子との約束破るような子じゃないから。安心して」
「好きな子って」
「だって付き合ってるんでしょ」
「付き合うなんていっても、ただの練習だし」
そういうと、遥先生が笑った。
「へぇ、郡山くんはそんな風に思ってるんだ。ナツもまだまだだなぁ」
「なにがですか?」
「なんでもないよ。これは、ナツと郡山くんの問題」
その時、保健室のドアがガラガラっと開いた。
「悪りぃ、遅くなった」
「立山、先輩」
そこには、僕のヒーローが立っていた。
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