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2A登校3
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『2年A組』
そう書かれたプレートの教室の前で、立ちすくむ。
え、僕なんでこんなところに連れてこられてるの?ここ立山先輩の教室じゃん。幸い、2年生のクラスは3階にあって4階にある1年生のクラスとは離れている。だから同級生と会う心配はないんだけど…。
ちらりと助けを求めるように先輩を見ると、大丈夫だから、みたいな顔をされた。
「俺がお前を連れて来たかったの、ここ。入れそう?」
「む、むむっ、無理無理!絶対無理です!先輩の教室なんて」
何をされるかわからない。
そりゃ、立山先輩は優しいけど、そんなのレアケース。僕の周りの人間は、僕を傷つける怖い人ばかり。
もう保健室に帰ろうとした時、A組の教室の扉が開いた。
「うわっ!あ、えっと」
目があったのは、僕より大きな先輩。サッカー部にいそうな、こんがり焼けた肌と短髪が特徴的。
そしてその先輩は、僕を見つけるなり、つり目がちの大きな目をパッと見開いたあとニコリとした。
「あ、いるじゃん夏彦の友達!ようこそ、さ、入って入って」
「え?」
サッカー部っぽい先輩に無理やり教室に引きずりこまれると、みんなが僕を見ていた。しかも笑顔で。
しかもしかも、黒板には『郡山くん。ようこそ2Aへ』なんて書かれてある。
「こ、これ、どういうこと」
「君夏彦の友達なんでしょ?なら俺たちも友達になりたいなぁと思って。俺は八重正樹(やえまさき)、よろしく!」
サッカー部っぽい先輩改め八重先輩が、僕に手を差し出す。
この手、本当に握ってもいいの?友達になりたい、なんて言われたけど、そんな夢のようなセリフ、信じてもいいのかな?
考え込んでいると、クラスの他の先輩たちも続々と僕の周りに集まってきた。
「おい八重、抜け駆けずるいぞ!俺も友達候補、よろしく!」
「立山くんの友達かわいーい!よろしくね」
「こんな可愛い子なら毎日でもきてほしいわ!立山の人選良き良き」
先輩たちのあたたかい声が僕に集まって、なにこれ、信じられない。夢でも見ているの?
その時、肩をトンと叩かれた。
「夢じゃねぇよ。みんなお前を大歓迎だ」
「せん、ぱい」
立山先輩。
「これ、全部先輩が?」
「俺がってわけじゃねぇけど、まぁ、みんな俺の友達だ。大丈夫、お前を傷つけるやつは1人もいねぇよ」
立山先輩。立山先輩。
先輩は、僕のお助けヒーローなんですか?どこまで僕に優しくしてくれるんですか。
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