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自覚
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「僕、体育祭の日、先輩たちのところにお邪魔させてもらいます」
次の日の昼休み。いつも通り2年A組でお弁当を食べている時に、そう切り出した。
「クラスでまとまりたい日なのに、僕いてごめんなさい」
「何言ってるのはるちゃん!俺すっげー嬉しいよ」
「はるちゃんの応援があったら百人力だね」
相変わらず、ここの人たちは僕に優しい。
八重先輩の膝の上に乗って、高城先輩に頭を撫でられる。それが心地よくて、ふわふわする。
「みんな聞いてー!体育祭の日、はるちゃんが俺らのとこ来てくれるらしいよー!」
八重先輩がそうクラス中に聞こえる声で言うと、拍手が起こった。
「はるちゃん、体育祭の日ツーショ撮ろうね!」
「あ、はい。よろしくお願いします」
「きゃあ可愛い!ほんっと弟にしたい!」
村中先輩に抱きつかれて、座っている位置的に顔が先輩の胸に当たって。どうしたらいいかわからなくなる。
「あっ、あの先輩、顔が」
「んー?」
「おい村中ぁ。お前の貧乳がはるちゃんの顔に当たって迷惑だぞ」
「貧乳って失礼ね!」
そこでわっと笑いが起きる。立山先輩の方をちらりと見ると、少し笑っているようで安心した。
最近、立山先輩の行動とか表情が、とても気になる。
怒られるわけではないんだけど、立山先輩に嫌われるのがすごく怖くて。今もこうしてあまり喋れてないことが少し寂しい。
立山先輩のほうをじぃっと見つめていると、村中先輩がこっそり僕に教えてくれた。
「立山はクラス対抗リレーと騎馬戦と大縄だよ。ここだけの話…体育祭の時の立山って笑っちゃうほどモテる」
「え、なんでですか?」
「普段立山って女子とあまり話さないから、どちらかというと八重ちゃんとかの方がモテるんだけどね。立山ってすっごい運動神経いいから、そこで好きになっちゃう子が多いんだよ!」
あたしも1年の時ちょっと好きだった、と先輩は付け加えた。
瞬間、胸が鋭い刃物で切られたかのような痛みを感じる。
なに、これ。
「そう、なんですか」
「そうそう。走ってる立山は本当かっこいいから!一緒に応援しようね!」
「は、はい」
ズキズキ胸が痛い。
立山先輩がモテるのはよく分かる。だって、あんなにかっこよくて運動神経もよくて、実は優しい。モテるに決まってる。
そんな当たり前のことを今更人から聞くだけで、なぜか胸が痛い。
「立山先輩は…好きな人いるんです!だからっ、みなさん先輩のこと好きになっても無駄だって、伝えてください!」
大きめの声でそう吐き捨てて、急いでお弁当を片付けてA組を出る。
はるちゃん待って、と村中先輩の声が聞こえたけど、苦しくて苦しくて、保健室まで急いで走っていった。
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