アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
自覚3
-
どうして気づいてしまったんだろう。
「た、立山先輩なんかっ、きらい」
「それは寂しいな」
笑いながら先輩はそういって、僕を抱きしめて、頭を撫でる。
そんなことしないでよ、もっとドキドキして、好きっていってしまいそう。
「立山先輩、僕のことなんか、好きじゃないくせに」
「んなわけねぇだろ。なんでそんなこと思うんだよ」
「だって…だっ、てぇ」
悔しくて悔しくて、また涙が出てくる。
立山先輩が僕を好きといってくれるのは、あくまでも後輩として。僕を練習台に使うくらい好きな人が、先輩にはいる。
「せんぱ…付き合ってるのに、何もしない」
初めてのキスは本命さんにとっておきたいのかな、なんて思うと、本当泣けてきた。
「何もしないって…。んならあれか?手出していいのか?」
「い、いよ…だって、僕はどうせ練習台で。そ、それならっ。キスの練習も、したっていいのに」
こんなこと言ったって、どうせ立山先輩は何もしない。ハグ止まりだ。だって、本命さんがいるから。
そう思っていた。
「遥」
優しい声で呼ばれて、驚いて先輩の方を見上げると唇が塞がれた。
え、え、僕今、立山先輩とちゅーしちゃってるの!?
目を開けると、先輩の綺麗な顔が目の前にあってクラクラする。先輩は目を閉じてても、かっこいい。
そのままもっと強く抱きしめられて、先輩の温度を感じる。もっと感じたくて、思わず自分からも抱きつく。
3秒後先輩の顔は離れていったけど、僕には一瞬にも永遠にも感じられた。
まさか、人生で立山先輩とキスできるなんて思ってもみなかった。今なら死んでもいいかもしれない。本当に。
「せっ、せんぱい…立山、せんぱ、い」
「お前が可愛いのが悪いんだからな」
そういって、額と額をコツンとされる。
先輩に触れられたところが熱くて、蒸発しそうで、同時にとても胸が締め付けられた。
立山先輩はきっと、本命さんには何度もこうやってキスをする。キス以上のことだって。
先輩に僕を好きになってもらうのは無理だから、この1回で、僕は我慢しないと。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
49 / 97