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自覚4
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その後は、泣き止んでからもずっと先輩にとろとろに甘やかされた。
ぎゅうっと抱きしめられて、額にキスが降ってくる。
「はぁ、郡山可愛い」
「か、かわいく、ない」
「うるせぇよ、いいからお前は可愛いんだよ」
そんな優しい目、しないでよ。
本当に思ってないくせに可愛いなんて言わないで。
先輩の本命が僕なら、どれだけ幸せか。
こんなに優しくてかっこいい人、中々いない。そんな先輩に愛されてるなんて、しかも溺愛されてるなんて、その人はなんて幸せな人なんだろう。
「こーりやまー」
「なん、ですか」
「お前さ、さっき何に傷ついてたんだよ」
聞かれて、ビクッとなる。
言えない。
先輩のことが大好きで、女の子にモテるって聞いて寂しくなったなんて、絶対言えない。
だって、好きってバレたらきっと練習で付き合うのは終わってしまう。立山先輩と、もう一緒にいられなくなってしまう。
「村中がなんか言ったか?」
「ち、違うんです。えっと、その、急に、昔のクラスのこと思い出して」
「そっか。それは怖かったな」
先輩に嘘をついてしまった。
こんなに優しくて、僕のことを大切に思ってくれている先輩に。
罪悪感はあったけど、先輩のことが好きだなんて絶対に知られたくない。仕方のないことなんだ。
怖かったな、と先輩はずっと頭を撫でてくれている。
もういいです、って言っても、ずっと。
「なんで、そんなに頭撫でるんですか」
「郡山がもう怖くならないようにな。もし怖くなっても、俺のこと思い出せるように」
ひと撫でされるたびに、先輩の熱が僕の体に取り込まれるような気がして、ずっとこのままでいたいと願う。
先輩の本命さん。お願いします。先輩の好意に一生気がつかないでください。
僕は、ずっとこの幸せに浸っていたいんです。
「先輩…立山先輩」
好き、が言えない。
いつも僕の味方でいてくれる、優しい立山先輩。
本当に、本当に、大好き。
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