アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
自覚6
-
練習が終わると、僕はすぐにモップに取りにいって片付けを始める。
1分1秒でもはやく、立山先輩のもとに行きたい。そんな思いで必死に片付けをしていた。
待ち合わせの部室外。そこには立山先輩と、幼馴染の大志がいた。
「え、大志?どうして」
「今日は中里も一緒に帰んぞ」
どうして、先輩。
もしかして、僕が先輩のことを好きなの、気づいちゃったの?だからもう僕とは2人になりたくないの?
ショックで足の力が抜けて、その場にへなへなと座り込む。
「お、おい郡山!どうした、大丈夫か?」
「遥?大丈夫?」
「た、立てない」
すぐに立山先輩が僕の側までやってきて、肩を持つ。
そう、先輩は僕がピンチになると絶対に一番最初にかけつけてくれてた。いつでも絶対に。そんな先輩だから、好きになったんだろうなぁ。
大志も来てくれて、僕に背中を見せてしゃがんだ。
「ほら遥。立てないならおんぶ」
「えっ、で、でも」
「いいじゃん。昔はよくやってたんだし」
確かに昔は、体の大きかった大志によくおんぶやら抱っこやらしてもらっていた。
でも、今立山先輩の前でおんぶされるなんて恥ずかしい。
そんな風に思っていたら、先輩も大志みたいに僕に背中を見せた。
「俺がおぶる。中里は俺と郡山の荷物持て」
「いやいいですよ。先輩におぶらせるわけには行きません。遥は俺が」
「いいから!荷物持つ方がだりぃんだよ。2人とも先輩の言うことが聞けねぇのか?」
立山先輩のその言葉で、僕は恥ずかしさを我慢しながら先輩の背中に乗って、大志は2人分の荷物を持つ。
先輩の背中はおっきくて、首元に顔をやると少し汗の匂いがして、かっこよくて、幸せと恥ずかしさが混じったような複雑な気分になる。
「立山先輩、本当にありがとうございます。練習後で疲れてるのにすみません。大志も、荷物ありがとう」
「俺はお安い御用」
先輩は何も答えず、ふーっとため息をついた。
「あのな、郡山。すみませんなんて言わなくていいんだよ。しょうがねぇじゃん、腰抜かしちゃったんだから。しょうがねぇことで謝らなくてもいいって、前にも言ったよな?」
「あ、え、でも、申し訳なくて」
「はぁー。ほんっと健気」
先輩が呆れたような声でそう言う。嫌われちゃったかな。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
52 / 97