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自覚7
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「体育祭で俺が競技に出てる時は、中里にお前のそばにいてもらおうと思うんだ」
僕をおぶりながら、先輩が説明した。
「今日の練習で中里はお前の幼馴染だって聞いて、適任だと思ったんだ。中里なら俺も一応信頼関係は築けてる後輩だと思ってるし」
「夏彦先輩!一応ってなんですかー俺先輩のことめっちゃ信頼してるのに」
ぶう、と少しあざとく頬を膨らます大志が、見ていて羨ましかった。
立山先輩のこと、夏彦先輩だなんて呼んでるし、とても仲が良さそう。
先輩の恋愛対象は女の子だって分かってるはずなのに、大志にまで嫉妬してしまう僕は重症かもしれない。
「遥は俺が一緒でもいい?」
「うんもちろん。一緒でもいい、じゃなくて、大志と一緒がいいよ。大志はいつも優しいもん」
それより、今日大志も一緒に帰るのは、僕が嫌われたからじゃないってことがすごく嬉しい。この話をするためだったんだね。
安心して、思わず笑みが浮かぶ。
「ちょっと、遥…なにその顔」
「え?あ、えっとね、嬉しくて」
そんなに変な顔だったかな。
「あー。もう本当、無自覚怖い」
「なんのこと?」
「なんでもない!遥は小悪魔だって話!」
「随分と仲のいい幼馴染なんだな」
そういった立山先輩の声は、すごく冷えていた。
最近ずっと一緒にいたからわかる。この声は、すごく不機嫌な時だ。
「あの、立山先輩。僕なんかしましたか?」
「別になんもしてねぇよ。ま、仲良しの幼馴染くんと一緒にいられてよかったんじゃねぇの?」
言い方にトゲがあるように聞こえて、こころにグサッと刃物が刺さるようなショックを受ける。
立山先輩、僕、間違ったことしちゃいましたか?
結局家の前まで先輩と大志は来てくれて、また明日と別れた。
立山先輩の不機嫌の正体は、分からないままだった。
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