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体育祭
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今日は、年に一度の特別な日。
学校に着くなり2年A組の教室で体操服に着替えて、校庭に出る。
「いい天気だな」
「そうですね」
昨日の態度とは一変、立山先輩はすごく優しく接してくれた。はちまきを上手く巻けない時も、しょうがねぇなって巻いてくれた。
天気は快晴。絶好の体育祭日和。
立山先輩への気持ちもこんな風に晴れたらいいのにな、なんて思いながら先輩の半歩後ろを歩く。
僕はやっぱり、先輩の半歩後ろを歩くのが好きみたいだ。先輩と近くにいながらかっこいい背中を見ることができる。僕だけの特等席のようで、嬉しかった。
開会式が終わって、みんなが自分の持ち場に帰っていくなか、1年生のムカデ競争がコールされた。
少し胸が痛む。だって、ムカデ競争は1年男子全員参加の競技で、本当だったら僕も呼ばれていたはずだったから。
そんな落ち込んだ僕を見て、立山先輩はしょうがねぇよといった。
「悔しいのは分かる。俺も、お前を2年の競技に一緒に参加するさせることが認められなくて悔しい。でも俺は、こうして今お前が隣にいてくれてるだけでも嬉しい。いい体育祭の思い出だ」
「僕も、立山先輩と一緒に体育祭にこれて、本当に嬉しいです。ここにいられるのは、先輩が先生に掛け合ってくれたおかげです。本当にありがとうございます」
「郡山が少しでも楽しめるならよかった」
ニコッと笑う立山先輩の笑顔が眩しくて、くらくらする。
ありがとうございますの勢いに乗って、そのまま『好きです』なんて言いそうになって、大変だった。
だめだよ、先輩への想いは隠さなきゃ。このまま、先輩と笑っていたいなら。
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