アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
体育祭3
-
「一緒に赤組応援しようねって約束したから、きちゃった」
えへへっと笑う村中先輩を見て、複雑な気分になる。
3日前、立山先輩のことが好きだと気づいた日、村中先輩に僕は失礼な態度をとってしまったわけで。
「あ、あの村中先輩、この間は」
「あっ!見てよはるちゃん、立山の馬大将だよ!」
立山、という言葉にびっくりして、すぐにグラウンドに目を向ける。
立山先輩は体が大きいから、やっぱり馬を支える側の人だった。確かに、先輩が支えている人の頭には大将の帽子が被せられている。
ピストルの音で競技がスタートして、立山先輩の馬は勢いよく敵軍に突っ込んでいく。そしてあっという間にひとつ敵の帽子をとってしまった。
「すごいねぇ!あそこの馬、連携上手だねぇ」
「そ、そうですね。立山先輩すごい」
録画してるカメラは立山先輩がアップで撮られていて、これじゃ戦況が分からないとも思ったけど、これでいいんだと思い直す。
立山先輩のかっこいいところは、ひとつ残さず撮っておきたいから。
そんなスマホを村中先輩に覗き込まれて、あ!と声をあげられる。
「これ、立山アップすぎて馬撮れてないじゃん!はるちゃん可愛いなぁ」
「あ、いえ、この、それは」
「はるちゃんはやっぱり、立山のことが好きなんだねぇ」
好き、の2文字でひどく動揺して。こんなんじゃ本当に好きなのバレちゃうよ、なんて思いながら焦るのはやめられない。
「あ、大丈夫だよ!あたしは当たり前だけどはるちゃん応援してるし、誰にも言わないから」
「い、いや別に、立山先輩のことなんか」
「大好きだからこの間も教室出ていっちゃったんでしょ?ごめんね、あれはあたしが悪かったよ」
「そんなことありません!あれは、勝手に出ていった僕が悪くて」
「はるちゃんは何にも悪くないよ。だって恋する乙女だもん」
そういって、村中先輩はにひひっと笑った。
「立山は人気高いから大変だと思うけど、はるちゃんの可愛さがあったら大丈夫だよ」
「あ、ありがとうございます」
村中先輩はお姉さんみたいに優しくて、本当に大好き。
そのあとは2人で赤組を応援して、立山先輩の騎馬は大活躍した。
赤組全体の結果でも勝利して、村中先輩と2人でやったね、と手を合わせて喜んだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
56 / 97