アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
体育祭6
-
「あれ、立山先輩は?」
「夏彦はまた借りられちゃった。俺たちも1回くらい行きたい!なぁ城」
「ほんまや。なんで夏彦ばっか2回も借りられとんねん」
ふざけながらそういう先輩達をみて、自分まで笑えてくる。
でもそんな気持ちは、次の瞬間かき消された。
「お題は好きな人です。立山くん、付き合ってください!」
実況用のアナウンスでそう聞こえて、周りが一気に騒ぐ。いわゆる、公開告白というやつだ。
どうしよう。立山先輩が告白されてしまった。
どうしようどうしようどうしようどうしよう。
「あれ、はるちゃん顔真っ青。大丈夫?」
「だ、大丈夫です」
周りはどんどん沸いて、付き合えコールが響く。
公開告白というのはここが強みで、周りのノリに流されてOKされやすい。
でも、立山先輩が誰かのものになってしまうなんて考えられない。
だけど。
「僕に止める権利なんてないし」
立山先輩から見た僕はただの後輩で、好きな人と付き合うための練習台で。
だから、今例えば、待ってくださいなんて告白を止めに行っても立山先輩はきっと嫌な顔をするだけだろう。
周りの付き合えコールはどんどん大きくなっていって、立山先輩が答えを出すためにマイクを持ったら、それだけでひゅーとすごい沸いた。
「悪りぃ、付き合うのは無理だ」
周りはものすごいブーイングに包まれる。
付き合え付き合えと、まだコールする声が聞こえる。
だけど僕は、心底ほっとした。
いつか立山先輩が本命さんと付き合うのは、きっと笑顔でおめでとうございますって言える。だけど、今はまだ心の準備ができていなくて。
もう少しだけ、立山先輩の恋人でいさせてください。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
59 / 97