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体育祭9
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目覚めると、いつも嗅いでいる部屋の匂いがした。
周りを見渡さなくても分かる。ここ、保健室だ。
「どうして、僕は保健室に」
「遥。よかったぁ、目覚めた」
「あれ、大志?」
「お前昼休憩の時に熱中症で倒れたらしいな。全く、俺とか夏彦先輩とか、どれだけ心配したか」
そうか、僕、熱中症で倒れたのか。
大志に冷えた手で額を触られ、ひんやり気持ちいい。
「大志、きもちい」
「だから遥は…そんなこと、あんまり言うなよ。特に夏彦先輩の前でとか」
「なんで立山先輩?」
「そりゃ夏彦先輩が遥を見る目が……いや、なんでもない。とにかく俺以外の男の前で、そんな可愛いこと言うの禁止な。ましてやそんな無防備な格好の時に」
「可愛いことなんて、言ってないけど」
大志は何を言ってるんだろう。
考えていると、この小悪魔めとちょんと押された。
それからしばらくお互い無言になって、沈黙が流れる。
だけど大志との沈黙はそこまで気まずいものでもなくて、流れる空気のリズムが心地よかったりする。
「なぁ遥」「ねぇ大志」
言葉が重なって、お互い譲ろうとする。
結果、僕が先に聞くことになった。
「どうして大志がここにいるの?立山先輩は?」
「先輩は今クラスの大縄。ほんの数分前までここにいたんだけど。遥のことすっげぇ心配してた」
心配してくれただなんて、不謹慎にも嬉しくなる。
立山先輩は優しい人だからな。
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