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体育祭12
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「はるちゃん!もう、心配したよう」
戻って早々、村中先輩にぎゅうっと抱きしめられた。
「はるちゃん大丈夫だった?俺らも保健室にみにいきたいって言ったのに、夏彦にダメって言われて」
「そうやねん。夏彦はほんまにワガママボーイやな」
「誰がワガママボーイじゃ」
クラス中が笑いに包まれる。
「はい、チーズ」
クラス写真はなぜか僕が1列目の真ん中で、こんな位置で撮ったことがないからドキドキした。しかも隣に立山先輩がいて、余計に。
「郡山」
「は、はい」
「作れたな。体育祭の思い出」
その一言で、ジーンときて。
泣き出す僕にA組の先輩たちはたじろいでいた。そして、夏彦のせいだーって八重先輩が言い出して、立山先輩がブーイングされていたのが面白かった。
「はるちゃんと立山、1枚くらいツーショ撮りなって!」
「え、いいですいいです。そんなの、立山先輩に申し訳ない」
「そんなこと言わないで。はいっ、2人とも並んで」
スマホを用意した村中先輩に並ばされて、そのまま素早くシャッターを切られた。
「あとで送るからねー」
内心、村中先輩にとても感謝していた。
立山先輩と2人の写真なんて一生の宝物になる。両思いにはなれないけど、こんな幸せもあるんだ。
実は同じことを立山先輩も思ってるなんてお互い知らないまま、僕の体育祭は幕を閉じた。
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