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すれ違い3
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「でな、その田中ってやつに終わった後ラインしたらさ、『え、打ち上げって今日だったの?』とか言うんだぜ。田中やばいだろ」
「確かに天然さんだね」
「ありゃ天然ってかイかれてる」
中学生ぶりに大志と2人で話すのは、とても楽しかった。
友達の色んな話をしてくれて、大志は人気者だから面白い人たちが集まるんだな、なんて思ったりして。
送ってもらって家に着く頃には、もうだいぶさっきのショックは和らいでいた。
大丈夫。今日はたまたま森川くんと用事があっただけで、明日になればまた先輩と帰れるから。1日くらいでこんなにへこたれてちゃダメだ。
そう思っていた次の日。
「先輩、今日は」
「あぁ悪りぃ。今日も森川と」
頭を鈍器で殴られたような衝撃だった。
今日も、森川くんと?
隣にいる森川くんは、立山先輩は俺のものと言わんばかりに腕に抱きついている。
「ねぇ、言ってくださいよ夏彦先輩」
森川くんがそう言うと、立山先輩はバツが悪そうな顔をしながらこう言った。
「俺、しばらく森川と帰るから。お前は中里と帰ってくれ」
「えっ、どうして。どうしてですか先輩」
「いいから。俺にも俺の事情があんだよ」
事情って、なんですか。
本命の森川くんと付き合えたからもう僕はいらないって事情ですか。それとも、単に僕のことが嫌いになったって事情ですか。
それならそうとハッキリ言ってくださいよ。
嫌だと子供のように泣きわめきたい。
僕のことが最優先事項って前言ったじゃないですか。そう大声で攻め立てたい。
でも、そんなことできるわけなくて。
「分かり、ました。今まで図々しく先輩のこと誘ったりしてすみませんでした」
後ろを振り向くまでに堪えきれなかった涙を隠すように頭を下げて、そのまま僕は逃げた。
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