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すれ違い4
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次の日。
重い体をなんとか動かして、今日も1人保健室に登校する。
本当は、昨日のことが忘れられなくて学校どころじゃない。だけど、ただでさえ保健室登校でお母さんや周りの人に迷惑をかけているのに、不登校になってこれ以上迷惑をかけるわけにはいかない。その気持ちだけで、なんとか保健室までたどり着いた。
「おはようございます」
「おはよう郡山くん。あれ、今日元気ないね」
「え、どうして。別に普通ですけど」
ううん、と遥先生が首を横に振った。
「郡山くん、最近ここに来る時いつも、今日も学校楽しみだなぁって顔して入って来るんだよ。だけど今日は寂しそうな顔してた。なんかあった?」
すごい。遥先生は、本当に僕のことなんでもわかってくれる。
だけど、立山先輩のことなんて言えるわけがなくて。
「寝不足なんです」
「そっか。気分悪くなったら無理せずベッドで休んでいいからね」
そう言ってふわぁっと笑う遥先生の笑顔につられて、自然と少し口角が上がった気がした。
「じゃあ僕、朝の会議行って来るね」
「いってらっしゃい。頑張ってください」
遥先生が会議に行ったあと、なんとなく机に向かう気がしなくて奥のベッドに入った。
スマホを取り出して写真フォルダを開くと、大切な1枚があって。
「立山先輩と2人の写真なんか撮ったから、バチが当たっちゃったのかな。僕の分際でこんなに幸せなのが、いけなかったのかな」
1人で言いながら、涙がじわぁっと滲んできた。
体育祭の最後に村中先輩に撮ってもらった、立山先輩との大切な写真。僕の肩に腕を回した先輩がすごくかっこいい笑顔で写っていて、大好きだなと改めて思う。
そんな大好きな人の笑顔を、数分間、見納めのようにじぃっと見て。そして涙を拭って画面を閉じた。
「よし。決めた」
今まで立山先輩と一緒にいられてこんなに幸せだったんだから、もうこれ以上は望まないようにしよう。
立山先輩の本命さんはおそらく森川くんで、大好きな人の恋が叶ったんだから、僕も笑顔でいよう。
立山先輩に、おめでとうございますって、言おう。
僕の片想いはここで終わってしまったけど、もう絶対、泣くもんか。
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