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すれ違い7 夏彦side
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郡山のためを思って、俺は森川の条件を飲んだ。
帰りも、すごく嫌だけど郡山の誘いを断って森川と帰るようになった。
昼休み、A組に郡山が来ても俺は話さずにいた。
それもこれも全て、郡山のためだと思っていたのに。
でも、やっぱり俺は何か間違ったんだろうか。
郡山が全然笑ってくれない。むしろ、最近の郡山はずっと、泣きそうな辛そうな顔をしている。
「夏彦先輩!」
「あぁ、森川」
森川と付き合い始めてから3日後の昼休み、ついに森川は俺の教室にまで来るようになった。
ちょうど郡山も教室に来たところで、固まったまま中に入らずにいる。しかも、今の郡山は今まで見た中でも一番辛そうな顔をしていた。
「先輩はやく行きましょ」
「そ、そうだな」
本当は行きたくない。
何がお前を傷つけたんだと問いただして、郡山がもう傷つかなくてもいいように側にいてやりたい。
だけど、側にいるだけなら俺じゃなくてもできる。八重でも城でも村中でも、郡山にとっては俺と変わりない存在なんだろう。それに中里だっている。
だから、俺が郡山のためにできることは、今ここで森川の手を振って郡山を抱きしめることじゃない。むしろ逆で、郡山が教室に戻れるように森川の機嫌をとることだ。
「郡山、ごめんな」
郡山とすれ違うほんの一瞬、そう呟いて郡山の手を取った。
側にはいてやれないけど、俺はお前の味方だからな。
そう伝わるように。
こんなに辛そうな顔してるのに、側にいてやれなくてごめん。
何がそんなに苦しいのか気づいてあげられなくてごめん。
俺はお前の1番側にいたくて、もしそれが無理でもせめてお前を助けるヒーローになりたかった。
でも、こんな顔させるなんてヒーロー失格かもな。
俺はもう、どうしたらいいんだ。
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