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綾子先輩と遥先生2
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突然、ガラガラっと扉が開いた。
「はるちゃん!よかったぁ、ここにいた」
立っていたのは、村中先輩だった。
先輩は僕の方に小走りできて、頭を撫でた。
「先輩、どうしてここが」
「立山から聞いた。ねぇ、最近のはるちゃんと立山変だよ。距離置いちゃって、立山なんか『俺はもう郡山の側にはいられない』なぁんて言っちゃってさ!ほんと変。何があったの?」
立山先輩、そんなこと言ってたんだ。
やっぱりもう、森川くんがいるから僕の側は嫌なんだ。
改めて言葉にされると本当に悲しくて、悔しくて、息が苦しくなる。僕は立山先輩のことがこんなに好きなのに。
半開きの口にしょっぱい水が一滴入ってきて、それが涙だと気づく。
もう僕、泣いてばかり。立山先輩の恋が実ったことを喜ぼうって決めたばかりなのに。
そんな泣き虫な僕を見て、遥先生はティッシュを勧めてくれた。
「確かに、最近の郡山くんは元気がないし、ナツもたまに会うと目をそらすんだ。郡山くん、もしよかったら何があったか話してくれないかな?」
「お願いはるちゃん。私たちにできることならなんでもするから、教えて」
聞かれて驚くと同時に、ほっとした。
僕は自分から話す勇気のない意気地なしだから、ずっと、こうやって話を聞いてくれる人を待っていたんだ。
そして今、こうやって僕のために耳を傾けてくれる人がいる。
はぁ、と深く深呼吸をして、ティッシュで涙を拭った。
話そう。僕が立山先輩のことを好きなことも。失恋してしまったことも。
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