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見立てデート4
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結局、お互いの乗りたいアトラクションどちらにも乗ろうという結論に至った。
まずは僕の乗りたかった船のアトラクションに並ぶ。
行列はジェットコースターとお化け屋敷に集中していたおかげで、すぐに乗ることができた。
始まると、軽快なリズムのメリディーが流れてきて、つい踊ってしまいそうになる。
架空のものも合わせたたくさんの動物のオブジェが僕たちを迎えて、そのメロディーとも合っていてこころが弾んだ。
「わ、見てよ大志!かわいーい。癒される」
子供の頃に戻ったような幸せな気分になる。
僕が教室で受けてきたものや、立山先輩を思うと締め付けられる胸の痛みとは無縁の、優しくて幸せな世界観。
「幸せだね」
大志の方を振り向いてそういうと、無言で頷いてそっと手を握られた。
よかった。大志もこの気持ち、共感してくれているんだ。
そんなことが少し嬉しくて、ふふっと笑い声が漏れてしまった。
船が一周して終わる頃には、僕の心はすっかりあたたまっていた。
今なら誰にでも優しくできそう。立山先輩と森川くんにも、おめでとうって言えるかな。
いや…やっぱり、それは無理だ。想像してみたけど、まだ胸がキリで穴を開けられるように痛む。
僕はいつになったら、先輩のことを忘れられるんだろう。
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