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甘えん坊の顔 一郎side
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急に気温が下がって、保健室に来る生徒が増える11月。
僕はまだ、郡山くんのフォローをしながらナツに探りを入れていた。
ナツは依然として「関わんなクソが」とか「てめぇには関係ねぇんだよ」とか中学生みたいなことしか言わない。
だけどナツは日に日に元気をなくしていっている。ずっとナツの成長を見てきた僕になら分かる。
「あっ、遥先生今日三色弁当だー!いいなぁ」
「郡山くんも食べる?トマト」
「だからトマトは先生が苦手なだけじゃないですか!」
今は4時間目の途中だけど、珍しいことに郡山くん以外誰もいないから2人で早弁をしている。
せっかくゆっくり昼食を取れるというのに、トマトがいたら邪魔だから郡山くんにパスしようとしただけだ。何が悪いんだ。
そういうと、「遥先生って子供っぽいところありますよね」と笑われてしまった。
今日の郡山くんは、いつもより元気そうだ。朝から声のトーンが高い。
「郡山くん、なんかいいことあった?」
「えっ」
郡山くんは驚いたような顔をした。これは図星だ。
もしかしたら、ナツと上手く仲直りしたのかもしれない。
そう思っていたけど、郡山くんの返事は意外なものだった。
「昨日、幼馴染と遊園地に行ったんです。途中で雨降っちゃったんですけど、すっごい楽しくて」
手の動きを交えながら昨日の様子を教えてくれる郡山くんにうんうんって頷きながら、内心、ナツじゃないのかぁと少し凹んだ。
郡山くんと上手く仲直りできたら、ナツの元気も戻ると思うんだけどなぁ。
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