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甘えん坊の顔2 一郎side
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仕事が終わると、今日も学校から徒歩10分の自宅に帰る。
今日は自炊が面倒くさくて、コンビニ弁当を買ってきてしまった。こんな生活が続いたら保険医のくせに体に悪いよなぁと思いながらも中々やめられない。
そんな怠惰の夜ご飯をお腹に入れて、お風呂に入ろうとした時。
ピンポーン
チャイムがなって、誰かと思ってインターフォンを確認すると、そこにはナツがいた。
どうして、急に。最近話もしてくれなかったのに。
思うことは色々あるけど、久しぶりにナツと2人で話せそうなのが嬉しくて、すぐに玄関を開けた。
「いらっしゃいナツ、どうしたの」
ナツは拳を強く握りしめて立っているだけだった。入って、と道を開けてもその場を動かない。
「ナツ?」
「一兄…どうしよう、俺」
「うん?」
少し震えている。寒いからではなさそうだ。
しばらく待ってもまた何も言わなくなってしまったから、こちらから色々聞くことにした。
「どうして来たの。いや別に、来てくれるのは嬉しいんだけどね」
「…話が、あって」
「涼子さんには言ってきた?」
「うん。母さんには、一兄の家に泊まるって電話で」
「それならよぉし。さ、寒いから早く入ろうよ。11月の夜はこんなに冷えるんだねぇ」
その言葉に小さく頷くと、ナツは突然僕に抱きついてきた。
さすがバスケ部主将。その重みで体がよろける。
だけどなんとか受け止めて、見ると、ナツは泣いていた。
「助けて一兄!郡山が中里にとられた!」
そう大声で言い放つと、目の前の従兄弟は顔をぐしゃぐしゃにして号泣しはじめた。
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