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― ep.3 ―(4)
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そして、その懇願は届かないまま――
先輩の右手が、俺の右手を握った。
「下級生の友達って、高校では初めてかも。
仲良くしてねー♪」
「……
…! あ、は、はい…! こちらこそ…」
大きくも小さくもない、
温かくも冷たくもない。
「普通の手だな」としか言いようのない、彼の右手との初めての握手。
――それが俺にとっては、とても普通なんて言えない、
本当に何故…どうしてこんな風になっているのかわからない、
人生最大のどきどきの瞬間だったなんて……
「(何なんだろう……?
男子校に入って、感覚がおかしくなったのかな……?
なんで、ただの普通の……男の先輩に、
思考から何から…何もかもあっという間に持って行かれて、
……手が触れただけで、
こんなに普通でいられなくなるんだろう……?)」
一体自分にとって、この人の存在は何なのか……
最初に一目見た時から思っていたことがますますわからなくなり、
もう絶対に尋常じゃない鼓動の速さが伝わってしまっていると観念して、
こちらからは何も動かさず、ただ相手の行動に身を任せていた。
……何だか時間の感覚もなくなってしまったようで、
この一瞬が永遠に続いていくような気さえしていた。
「………」
………
だんだんリアルに、本当に長く感じ始めてきた。
「………
……?」
………
…ってゆーか、長いよね?!
「(……んんん〜??)」
そしてなんか……
…強くないですか?
――ブンブンブンッ
「(お〜い、何だよこれぇ…?!)」
なんかブンブン振り回され始め、
呆けていた頭が覚醒して我に返ってきた。
いつまでも続くやたらとパワフルな握手にすっかり余韻を奪われてしまい、
狼狽えながら相手の顔を見つめていた。
その時。
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