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夕方
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夕日が傾き、今日が半分くらい終わりかけていた頃。
住まいの一軒屋から、徒歩10分のスーパーを目指して出掛けた。
暑すぎるから、アイスでも買おうと思ったのだ。
半袖のシャツから伸ばされた腕に丁寧に日焼け止めを塗ったが、おかげで汗でぬるぬるしている。
いつものクセで、携帯のメモを開いて今日のことを書いた。
「アイスを買う。
もなか、か、もちにしたい」
書いてないと忘れがちだ。
「それから、ボールみたいなやつ」
誰も見ないから
「 ボールみたいなやつ」で充分、自分には伝わる。
夕暮れの、紫と赤と青が混ざりあうような奇妙な空を遠目に見ながらも、俺は飛んできた、ボールに、気がつかなかった。
「ごめん、心のキャッチボールがしたくて」
「いたた……」
頬を擦ったボールに涙目になりながら見上げるとやたらと真っ黒い髪に紫の唇をした知らないやつ。
「誰だ」
「太田。ボールを投げ合えたらと思ったんだ」
知らないやつから話しかけられたのは、小林以来だ。
小林って誰だっけ。
未だによくわかっていない。
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