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ストーカー
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もしかしたら、昨日のストーカー野郎が勝手に部屋に来てこれを読んでいるんじゃないかと考えてみた。
此処に来た経緯はわからないが、俺に興味を持つ理由になる可能性はなくはないと思う。
「普段へらへらしてるあの無愛想なヤツが、こんな暗いの書いてる、ダッサ」
とか言ってにやにやするのは、さぞいい気分だろう。
犯人が確信となりわかったとき、きっと俺はそいつだけは許さないのかもしれない、と頭の隅で考えて、そんな自分が恐ろしくなった。
そんなときに、ガコン、と外で音がした。
ポストが開く音。
慌てて、下へ向かう。
投函したやつはいなかった。
俺の古い傷跡を思わせるような文字列が、そこに置いてあった。
『えっくん』
小さい頃の俺のあだ名を呼ぶかのような、エクレア風の小さなサイズのお菓子。
ズキッと心が痛んだ。
苦痛を訴えるように、身体が硬直する。
次の日も、また次の日もさらに次の日も、それが続いていた。
同じお菓子。
ときどき、「読んでるよ」と書かれた栞がついていたりしたからたまらない。
確実にノートは読まれているし、これを読むやつは、俺を精神的にも殺したい。
誰かは知らないが、えげつない。
こんなことをすれば、
相手が追い詰められて自殺に向かうかもしれないことくらいはわかるだろう。
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