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寂寥感
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ある程度動悸が収まるのを待ってから、教室に入り授業を受けた。
その間は特になにもなくて、休み時間にはちょくちょくと、ポケットから取り出したゲームで、丸いやつの世話をしていた。
小さい頃はいろんなやつと通信したり、キャラクターを競ったりしたのに、今じゃブームは去ったのか俺くらいしかやってない。
しかし、この、乗り遅れた感じはどこか嫌いじゃない。
それに、誰かに見つかろうもんならすかさず「かーわいー」とか言われるのでどうせわかっちゃもらえないだろうし。
「お前といると、気が楽だよ」
小刻みに動くドットに話しかけてみたが、もちろんそいつはなんの反応もせず、プログラム通りに一日を過ごしている。
そう、気が楽なんだ……
他の命を見守っているだけ、愛でているだけで心は救われて糧になる。知能のある生き物はその辺りに稀有な存在だと思う。ルーティンのような一通りを、他人を通して眺めることが、生きるのに必要だ。
普段から切り離して客観視することが、自分の心を理解することでもあるわけで。
それを、見られた上に「必ず黙っていられない」という態度で主観的に逐一を握られていると思うと、精神活動自体がおかしくなってしまうかもしれない。
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