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心
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さすがに屋上は空いてなかった。
だが最上階の踊り場は誰も居らず普段使わない机置き場になっているから、机がつまれただけの、静かな空間だ。
俺は椅子をひとつ出して腰かけた。
「はぁ、なっちゃんと遊びたい」
本音がこぼれたが、まあ一人だから良いだろう。なっちゃんは、俺が嫌いかもしれないと、気を遣っているのに、ずいぶん都合が良い妄想が脳裏をめぐっている。
もう少し、教室にいて、同じ部屋で観察していてもよかった。
けれど、想像した自分の行動が気持ち悪いんじゃないかという気がして、やめておいた。
窓はなくて、この空間は少し蒸し暑い。
ただ、これさえマシなら、それなりに素晴らしい休憩場所である。
気だるい身体のまま、携帯をぽちぽちと弄っていた。
少し前に読み始めた小説の、コラムが好きだったので、たまにのぞいていたけど数ヵ月前からやっぱり更新が停止していた。
「まだ、か」
もしかしたら、再開しないなかもしれないと思いつつ来てしまっているのは、単に、習慣みたいなものだ。
部屋においてあるノートを思い出した。
あれを書いても不安がぬぐえなくなっている。
それは初めてのことで、驚いたし、戸惑った。
誰かが読むかもしれない。誰かが俺を――俺の心を読むかもしれない。
考えているとなんだか身体がひきつってしまって、恐怖で強張りノートを手放したくないのに、手がまったく動こうとしない。
主人公は今どうしてるかな、と他人事のように気にかけているのが常だった。他人事のように俯瞰するためのものだった。
それが今、自分のことみたいに突き刺さってきて――――
痛い……
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