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どうして
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歩いている間しばらく、どうしようかと俺は悩んで黙ったままだった。
お前、ネット小説書いてんの?
と、そのまま聞いていいのかといざとなるとためらうのだ。
それに、証拠はなく、ただこいつがノートを読んでいるらしいという疑惑があるくらいで聞いていいものなのか。
だけど疑わしいのはこいつだ。
なっちゃんと離れてから携帯で著者名に検索をかけたらすぐ見つかった作品の内容は、明らかに俺のトラウマから何からをなぞって付け足したようなもので、あの一部分だけじゃなかったことをすでに確信している。
恐怖と憎悪と嫌悪が一気にやってきたが、家族にもクラスの誰にもそんな話は言っていないし俺が始めたノートの、どこまでがトラウマかなど聞くものは普通現れない。現れようもなかったはずだ。
説明すれば、それを知らなかった相手からの質問攻めにより、余計に傷を負うことも、吐き出したものを背負い直すことになることもわかった。
「さっきから、黙ったままだね」
河辺が、困ったように笑って言った。
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