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「父親が養育費を払いたくないからって、実の子どもを手にかけようとするんだよ」
「あの辺り、リアルだよね」
誰かが、そんな話を始める。
俺はそうでしょうねとも言えず、つらいことがあってももうあのノートに吐き出すことも敵わないということが頭の中を支配した。
もう、辛いとか、悲しいとか、口にしたらいけないんだな。
全部があいつによるフィクションに捉えられて、俺が何を話したって、狂言にしかならないだろう。
俺を見て、河辺がにやにやと笑う。
「きみのことを、誰よりわかっていたいんだ」
全然わかっていないということだけが、よくわかる。
「スリルがあっていいよな? あの小説、芸能人にも人気でさー。コメントもらっちゃったりして」
と、河辺は芸能人の名前をいくつかあげた。
俺のトラウマは、こうして歪んでいく。
「あの嗄倉羅子も、気に入っているんだ。おかげ様で」
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