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八方塞がる
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河辺の態度は、まるで俺ならば辛い思いをしてもいいと言われているようだった。
でも、そうかもしれないと思ってしまった。大金を稼ぎ沢山の支持をされる女優と比べれば、自分はとてつもなくちっぽけな存在。
俺と 嗄倉羅子、死ぬならどっちかと聞かれたら、ほとんどのやつが俺を選ぶ気がした。
「なっちゃん」
なっちゃんもそうだろうか。
でも今だけは、テレビも雑誌も映画もない、今だけは。
「なっちゃん……」
なっちゃんにしがみついて、ぱたりと動かなくなった俺は次第に目の前が暗くなっていた。
聞こえるのは、他の部員たちが駆けつけてきたこと。カンベなんとかってやつの話をしていたやつの声もある。
悪気はないはずなのにその話題だけで既にキレそうな自分がたまらなくつらい。
「熱中症かもしれない。こいつ、日差しに強くないから」
なっちゃんの頼もしい声が聞こえている。
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