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「なにかあったなら、話してくれ。俺を頼って」
布団を畳もうかと思っていたらなっちゃんが言った。
「あ、ありがと」
そういえば、俺は昔プライドが高いお嬢様タイプが好きだったなと、他人事みたいに思う。
今の俺が、美少女だったなら攻略対象なのに。
あれはずっと一人でいても平気そうな自分に、何か重ねていたのかもしれない。
不毛なことだが、あの、凛としていて他人を必要としなさそうなところが好きだったんだ。
「ねぇ、何があった」
なっちゃんが、心配そうに聞いてくる。
「なんにもないから平気だ」
なっちゃんの、形の良いゆるやかにつり目になっている瞳も、淡い色の髪も俺が好きなものだった。
けれど、なっちゃんは、
お嬢様タイプでも、
プライドの高いタイプでもなくて。
きっと、孤高を知らない人。誰かに頼れる人。
それが今はとても俺を苦しくさせる。
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