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夜中
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家に帰る頃には真っ暗だった。
帰宅後すぐ着替えて風呂に入って、それから母さんと夕飯を食べて部屋でノートを開いた。
けど、手が震えている。
持った手のひらから、全身が冷えていく感じで、今まであんなに抱き締めて眠っていたノートとはもう思えない。
俺の人生は、あいつのプロットみたいなもんだっただろうか。
癖で、書かなきゃ、と、ペンを手にして紙面に滑らせるけど、吐き気と目眩が来るだけ。
自分が生きている、という感じがしなかったしなんだかいろんな感覚が無いような気がした。
試しに、鋏を腕に当ててなんどもすっ、すっ、と引いてみた。
実は始めてやった。
「いたくない……」
あ。なんだ、全然切れないじゃんと思って何度も動かしてみたら、腕がまるで鋼にでもなったように錯覚した。
「すげぇ、うわ、まじで」
全然痛くないことが不思議で面白くなって、何度も何度も、腕を傷つけた。
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