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自失
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誰かとむやみに会える状態じゃないことは俺には明らかで、冷静になってはまたそうでなくなり、また落ち着くという具合だった。
誰かが話しかけるだけでとてつもなく激痛が走ったようになった。
そういえばとこの前から時間を止めたままの育成ゲームを思い出して、起動しなおす。なかにいるイキモノは生きていた。
ふよふよと動きながら、おはよう、と話しかけてくる。他人の目にはきっともう俺は物にしか映らない。今話をしても自我がわからなくて、他人がわからなくてパニックになるだけだろう。
物同士で戯れておこうかと、熱心に世話をしていた。
午後になり、少しマシになったかと起き上がると着信が来ていた。
「はい……」
「クラスメイトの麻奈美だけど!」
「あぁ」
と言ったけど、印象がない。そこまで親しくないからだ。
「今からこられる?」
頭が追い付かなくて俺はえ? と聞き返した。
「来るよね」
そういえば、休みますという連絡も入れてない。サボリにしか見えないかもしれない。
熱は、頑張れば耐えられたし他の不調は特にない。健康といえば健康だ。
「気分が悪いから、休んだんだ」
「声元気そうじゃん。私待ってる」
電話は一方的に切られた。
なっちゃんが言ってた件なんだろうかと思ったが、身体を動かす気力がなく、結局行かなかった。
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