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邂逅
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ユアはΩだ。
兄はαで、弟と妹はβだった。
両親は兄曰く、早くに亡くなったらしい。
その為、歳の離れた兄が親代わりにユア達兄弟を育てた。
兄はΩであるユアが独り立ちした時のことを考え、ユアに厳しく自らを守る術を仕込んだ。
αやβに虐げられないで生きていけるようにするために、護身術を基調とする体術から、相手を煙に巻きつつ隙を与えない喋り方、読み書き、そして、ナイフや銃等の扱い方まで。
そのおかげが、ユアは周りの同じ歳の子供より強い肉体と精神をした子供に育った。
だからといって、まだ彼は11歳で、そして、Ωなのだ。
いくら彼自身が強くても、集団で来られれば一溜りもない。
そして今現在、カナン列島群全体を統治する機関は存在していない。
簡単に言えば、無法地帯なのだ。
発情期が来ていないΩは捕えられ、売り飛ばされることさえあった。
(生き残ってどうしろって?)
ユアは自分を生と死を隔てる川の対岸から引き戻した声を呪った。
(兄さんも、弟も妹も死んだ世界なんて生きる意味あるのか?)
そう思って視線を下に落とした時、家の扉が音を立てて引き開けられる音がした。
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