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邂逅
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「結論から言う。ユアの他に、生存者はいなかった。」
その場に沈黙が流れる。
ユアは無表情だった。
正直、この島に、家族以外の未練は無い。
兄はユアを守るために近所付き合いの場に彼を連れていかなかったし、遊ぶ時は必ず兄がそばにいた。
島の住人は閉塞的な社会でありがちな偏見を持っていたため、Ωを嫌煙している節があった。
勿論、ユアもその対象で、島民との間にいい思い出は無いのだ。
「俺は、これからどうすればいいの……?」
深い蒼の瞳を真っ直ぐに見て問いかける。
「とりあえず、君にはオルフェウス研究病院に入院してもらう。色々検索をしてデータを取りたい。それと、これは大切な事だから聞いておくが、君のバース性はΩであっているね?」
「……うん。」
何かを手帳に記入しながら表情を変えずに答え、質問するベルに少し背筋が冷えた。
ベル=バルクが自分の味方だといつ決まった?
何故、自分の第二性を教えた?
非常時こそ、冷静たれ。
そう言われていたのに、自分はもしかして、自ら罠に嵌ったのではないか?
自ら弱みを晒してしまった、その事を改めて考えたみてゾッとする。
この男がΩを差別しない確証なんて、何処にもなかったのに。
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