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邂逅
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目に見えて顔色が悪くなったユアに気づいたのはアルカナだった。
「大丈夫?」
「何が?」
「具合が悪そうです。病み上がりなのに、無理をさせてしまいましたからね……少し横になりせんか?」
「大丈夫。」
実際、具合は良くなかったが、自分をどう扱うか分からない相手に敢えて腹を差し出す程、馬鹿ではない。
ユアは気力で断った。
アルカナはそんなユアを見て申し訳なさそうに微笑むと、ユアを抱き寄せた。
「ごめんね、あの人は、医学の事になると他が目に入らなくなるんです。Ωに偏見がある訳じゃないから、安心して大丈夫ですよ。」
目を見開く。
自分の、考えていた事を読まれていた事に驚く。
「俺は……」
俺は他人の視線なんて気にしない。
他人がどんな偏見をΩに抱いていたとしても別に構わない……。
「……人は、どんなに1人で生きているつもりでも、必ず誰かしらと支えあっていきているんです。だから、1人でも大丈夫だなんて寂しいこといわないで?」
細められたダークブルーの瞳に、泣きそうな顔をした自分が映っていて驚く。
想像以上にダメージは大きかったようだ。
(それはそうだよな……兄さん達、死んじゃったんだから。もう二度と会えないんだもんな……。)
胸の中のつぶやきに、また涙が溢れた。
そんなユアに何を言うでもなく、アルカナは今度はそっと彼を抱きしめた。
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