アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
知らない事
-
ベルに抱っこされたまま連れてこられたのは2階にある大きな窓のある部屋だった。
ユアにとっては、1人で生活するのには十分過ぎる程広く、1人で寝るには広過ぎるベッドもあった。
「ここが今日から君の部屋だ。私達の部屋も、近くにあるから、何か困った事があったらいつでもおいで。」
「はい。」
返事をすると髪を撫でられる。
(都市部では髪を撫でる事って、コミュニケーションの手段なのか?)
兄だって、こんなに頻繁には撫でなかった。
バース性のルールを知らない彼は不思議に思いつつ、試しにベルのふわふわを撫でてみる。
「なんだ?」
温厚な性格のベルは特別、反応せず、ユアの髪を撫で返す。
「髪……撫でるのって、ここではコミュニケーションの手段なのかなって思ったから。」
ついでにアルカナの頭も撫でる。
「か………」
(か?)
アルカナがフリーズする。
「可愛いいいいい!!!!」
「んえ?!」
アルカナはベルからユアをもぎとると、ギューギュー抱きしめた。
それはもう、すごい力で。
「駄目です、家族ごっことか無理です、私はあなたの本当の家族になりたいです。」
「よせ、アルカナ、ユアが窒息する。」
何がなんだか分からずに揺さぶられ続けながら、頭を撫でる事はコミュニケーションの手段ではないと頭に叩き込む。
軽く命の危険を感じた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
16 / 79