アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
逃亡劇
-
裏口から音を立てないようにこっそり出ると、正面玄関の方から沢山の人の声が聞こえてきた。
対応しているのは恐らくベルの声。
ユアは本格的にヤバそうな雰囲気を本能で嗅ぎとった。
手首に噛みつき、痛覚を刺激して身体を半獣化させる。
この方が足も早くなるし五感が研ぎ澄まされるため、危険が迫った時はこうしろと兄に教わったことだ。
そのまま裏手の林に転がり込み海を目指した。
順当に行けば海まではそうかからない。
10〜15分くらいで船着場には着く、筈だった。
(ドクン)
「っつ?!」
全身を電流が走り、血液が沸騰し、体温が一気に上がった。
「っあぁ……」
(これは……今、来るのかよっ………)
みるみるうちに後孔が濡れていく感覚があり、足腰が震えた。
(まずい………)
ユアは出る前にアルカナに渡されたリュックサックを死ぬ気で漁った。
彼ならきっと入れてくれていると思った。
「あっ……た……」
即効性の特効薬。
頼むから効いてくれと願いながら太腿に思いきり注射器を刺すと、身体から溢れ出していたフェロモンはすっと消えていった。
「はっ、はっ、良かった………急がなきゃ……」
フェロモンは消え、激しい性への渇望は抑えられても後ろの疼きは消えないし、身体もダルい。
耳と尻尾、ついでにモノもしっかりタチあがっていて、下着の中は愛液だか先走りだか分からない液体でぐしょぐしょだった。
「これが発情期……Ωが嫌われる理由……」
泣きそうだった。
「アルカナ……ベル……」
アルカナから貰った首飾り(プロテクター)の前に着いた飾りを握り、ぐっと唇を噛んだ。
ここで泣くわけには行かない。
ユアはダルさを我慢して、再び走り出した。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
29 / 79