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図書室にて
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ロランはふと、顔を上げ、今の今まで全神経を注いで読んでいた本を閉じた。
部屋の中に濃い血液の匂いが充満したからだ。
キマイラは通常の人間より嗅覚、聴覚、視覚などが優れている。
その為、これは確かなことだった。
尤も、もうこの深海都市の中に普通の人類など、数える程しかいないため、これが一般かつ、普通になりつつあるのだが。
彼が今いるのは、深海都市ハイドラの中央図書館。
セキュリティは万全で不審者は入ることができない筈である。
そもそも、一度滅びを経験したこの都市の人々は争う事を嫌う。
犯罪に関しては無いに等しかった。
にも関わらずこの濃すぎる血液の匂い。
「誰かいるのか?」
声を掛けても返事はない。
仕方なく、ロランは血の匂いの濃い方へ歩いていった。
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