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図書館にて
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匂いが発されているであろう本棚の後ろを覗こうとした時だった。
「動くな。」
身体が壁に押し付けられ、後ろ手に腕を捻り挙げられる。
「何のつもりだ。」
「今、通報されると困るんだ。動けばその喉笛を切り裂く。」
喉元に冷たい物が当たる感覚がした。
切羽詰まった掠れた声。
失血が原因なのか、細かく震える手。
首に添えられているのは恐らく、金属探知機に掛らない、非金属性のナイフだろう。
「俺は人を呼んだりなんてしねぇ。取り敢えずその物騒なものを下ろせ。それにその出血量、いくらキマイラでも死ぬぞ。」
そう言うのと、襲撃者が崩れ落ちるのはほぼ同時だった。
「おい、大丈夫か?」
「死にはしない……っく……」
「治癒が始まらないな……どう言う事だ?」
「弾に毒を塗った水中ライフルで撃たれた。生け捕りが目的だったから治癒作用を抑制するだけでそこまで強い毒ではない。」
「お前、地上人なのか……取り敢えず傷口を圧迫しろ。俺は休憩室から救急セットを持ってくる。」
ロランは襲撃者の体を壁にもたせ掛け、図書館内の休憩室へと向かった。
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