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お家へ
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ハイドラは、人工物であるとは思えない程に巨大な空間だった。
そして、ユアが何より驚いたのは日光が届かない深海を漂っているにも関わらず植物がそこかしこに群生している事だった。
カナタ曰く、旧世紀の人間は日光と同じ種類の光線を季節と時間に応じて発射するシステムを組み込んだらしい。
古い建造物には蔦が這い、場所は限られているが土の地面もある。
「そんなに植物が好きなら、旧世紀の植物もある植物園に明日連れて行ってやるぞ。」
「それはありがたい。だが、上から目線なα様は生憎嫌いなんだ。だから遠慮しておく。場所だけ教えてくれ。」
明らかに上から問いかけてきたロランの話をはねつけてやると、嬉しそうに口元を歪めた。
「なんだ?お前、冷たくされて発情する様な性癖でもあるのか?」
「いや、俺はナヨナヨしてαにタカって生きようとするΩが嫌いなんだ。だからお前みたいに強い個体が珍しくて……」
「珍しくて?」
それで?と、澄み渡る空の様な青い目を見つめ返す。
ドクリと心臓が脈打った。
(……なんだ?)
発情期は抑えられている。
フェロモンは出ていない。
なのに……
ロランからとてつもなくいい匂いがした。
懐かしく、甘く、リラックスする香り。
歩み寄って、その腕に身体を預けたくなる様な……
(何を……今何を考えた?)
目の前の、彼も同じく硬直している。
「……とりあえず、家に帰ろう。どうせもうすぐ夜になる。」
「ああ……、そう言えば夜という概念が存在するんだな。」
「そういう風にプログラミングされているんだ。」
「じゃなくて、ここで生きている人間やキマイラ達にだ。」
「ここの先祖は地上の概念を知っていた。それが受け継がれたんだ。」
「なるほど……なぁ、明日、やっぱり植物園に連れて行ってくれ。」
驚いたように振り返られ、逆に怯む。
「いや、あんた、旧世紀の本読んでただろ?だからガイド代わりに。」
「ああ。構わない。さっきは上から目線な態度をとって悪かった。お前、歳は?」
「……17」
「一つ下か。」
「え?あんたでかくねぇか?俺より一つ上なだけで??身長いくつ?」
「195。お前は?」
「175.……」
「キマイラは元々純種の人間よりは大きくなるが、それにしても成長途中Ωにしては大きいな、多分まだ伸びるな。」
「うん。せめて180はいきたい」
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