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小さな幸せ
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泣きそうになりながら自分を抱き締めて布団にくるまると、控えめなノックが聞こえた。
コンコン
「…………誰?」
「俺だ。入ってもいいか?」
「ああ。」
返事をすると落ち着いた手つきでドアを開け
てロランが部屋に入ってきた。
手には湯気の登るカップを持っている。
「何か大きい声がした。怖い夢でも見たのかと思って、ホットミルク入れてきた。子猫ちゃんはこういうの好きだろ?」
カップを受け取り、恨めしそうにロランを睨みつける。
気を使ってプライドの高い自分のために少しからかうような言い方をしてくれた事に気づいて胸がホカホカした。
「子猫ちゃんて、1個しか変わんねぇだろ。」
悪態をつくふりをする。
手の中の熱いホットミルクに口をつけてちびちび飲みながら、ユアはロランの肩に頭をもたせた。
「怖い夢見たんだ。いつもは家族が死んだ時の夢とかなのに、ここ何日かで少しおかしくて。」
「どんな夢?」
「大きな黒豹に追いかけられる夢。」
「そりゃ怖い。大型ネコ科の雄は直ぐのしかかってくるしな。」
冗談混じりにそう言いながらも、ロランはユアを慰めてくれた。
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