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小さな幸せ
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「そーいえばロランの胎親は?一緒に住んでないの?」
不意に、片親しか居ないことが気になって聞いてみた。
「マリンは、俺の胎親の名前だけど、何年か前に凄い高熱のでる病気にかかってそこからずっと昏睡状態なんだ。」
古傷を抉ってしまったかと思い、申し訳なさそうにロランを見ると目配せで大丈夫だと伝えられる。
微笑みながら続きを促された。
「昏睡?」
「ああ。」
「七日間だった?」
「何が?」
「マリンさんが熱出してた期間。」
「確かにそんくらいだったな。」
「マリンさん、起きるかもよ。」
「え?」
ユアはおもむろに着ていた服を脱いだ。
ロランが驚く暇もないくらいの速さで下着を残して全てを脱ぎ去ると、自分から発情フェロモンの匂いがしないかロランに聞いた。
「終わったみたいだな。発情フェロモンの匂いはしないぜ?」
そういわれるやいなや、アルカナに渡されたバックパックの中から採血用の注射器を取り出すと、脈を取って血液を取り出した。
「医者の卵、血清の作り方くらい分かるだろ?俺はマリンさんがかかった病気の唯一の血清保持者だ。」
目を丸くしたロランをスルーしてそのまま続ける。
「マリンさんがその病にかかる少し前くらいだけど、地上では七日病っていう熱病で沢山の人が死んだ。俺はその唯一の生き残りだ。」
ゆっくりと息を吸う。
「それだけじゃない。俺の血液には、どんな病気や欠陥も直せてしまう万能な力がある。」
ロランはどっちだろう。
私利私欲のために俺を売り飛ばすだろうか?
それならそれでいい気もした。
元々彼のおかげで生き延びれたのだ。
もし、この命がロランの役に立てるならそれでいい。
何故だかそれが当たり前の事の様にすんなりと思ってしまった。
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