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不穏な平穏
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ユアはロランと植物園に行って以来、殆どの時間を図書館か家で過ごしていた。
ハイドラの人間を何処まで信用していいのか分からなかったから、施術できる図書館で過去の文献を漁って自分の夢の事や中央政府、そしてハイドラ等、旧世紀に関する事を徹底的に調べた。
ロランと出会った図書館はかなり古く、そこそこ広い割に旧世紀に関する文献に情報が偏っていてユアにとっては好都合だ。
中央政府の成り立ち、総帥の制度、ハイドラの歴史、なんのために作られたのか……。
どの本にも大体同じ様な事が書かれていて、同じく様な所にモヤがかかっている。
まるで何か真実を隠したかったかのように。
「情報操作が行われたと言うことか?……」
特に、キマイラの運命や魂の番に関する歴史や情報が極端に少ない。
今日も今日とて気になる本を集め、机に積み上げて行く。
読んだ本は読んだ事が分かるように棚を分けた。(人が来ないから構わないとカナタに許可を取ってある。)
「これも同じか……」
読み終わりの棚に1冊戻して机に帰ろうとした時、ふと、旧世紀時代とはあまり関わりのないジャンルの棚に目が行った。
「生物進化論?著者は……ダーウィンじゃないのか……?模倣作か?」
黒い革張りに金色の文字で書かれたその本がどうしても気になり机に持ち帰って読むことにする。
「なんだ?日記形式で書かれている……というか誰かの日記だ……」
『西暦2215年 7月14日』
日記はそこから始まっていた。
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