アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
ドM上司とドS部下 1
-
※暴力表現あり。
変だとは思っている。
異常だし気持ち悪い。
自覚はないと言ったら嘘になってしまう。
____自分はマゾなのだ、と。
「雅紀さん、この資料どうします?」
「ああ、左奥のデスクに置いといて。後で処理したげるから」
「えっ、でもそれ残業になるんじゃ……」
「大丈夫だよ、家帰っても虚しいだけだし」
「雅紀さんも早く相手見つけないとですね〜、じゃお言葉に甘えますねっ」
そう言って足早に去っていく既婚者の後輩の背中を見届け、自分の仕事を片付ける。
原雅紀(ハラ マサキ)、27歳、会社員、独身。我ながらよくこの歳になるまで未婚でいられたな、としみじみ思う。
原因は分かっている。自分はゲイなのだ。それに加え、暴力を振るわれないと興奮できず、勃起すらできない正真正銘のドMである。
今までその性癖に付き合いきれず別れた男も多数。もう恋愛はしないで、一生独身のままでいようと思い始めたのはつい1年前ぐらいである。
現実は非なり。
「手伝います」
「ん?」
「だから、手伝います、雅紀先輩の、仕事」
表情1つ変えずに姿勢良く俺を見下ろす、無駄に図体の大きいこの男は、緑和明(ミドリ カズアキ)。仕事を卒なくこなし、毎日定時で帰っている優秀な人材である。
俺は緑の方を向き、口を開く。
「いやいやいいよ。緑くんいつも定時で帰ってるでしょ?休んでもらいたいし……」
途端、不意に緑が、俺の目の下に触れる。
「何が休んでもらいたい、ですか。先輩のが頑張ってます。こんなに隈作るぐらい寝不足だろうから、俺が仕事手伝って早く帰らせてあげます」
「ええ……」
オフィスで背徳感に浸りながら1人でシて終電で帰るつもりだったんだけどな。
ここは緑の優しさに甘えて了承しておこう。
実際、疲労が溜まっているのは事実である。
「うん、じゃお願いするわ〜正直助かったよ〜君みたいな優秀な人が手伝ってくれるなんて」
さりげなく緑の手を払い除け、笑顔で返した。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
1 / 11