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Vivre dans la révolution~革命に生きて
ヴェルサイユでのしきたりと大惨事
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スピンオフ第三弾。
16日に婚礼、初夜を迎えた王太子ルイとマリア・アントニア。
「ルイ・オーギュスト、マリア・アントニア!今宵は二人でしっかりと励むのだぞ。未来のフランスを担うのだからな」
ルイ15世と側近たちは、就寝の儀式に立ち会っていた。
二人の極限に達した疲労も隠せない。
「マリア・アントニア。四六時中、監視つけられるからね・・・」
「二人きりの時間・・・はっきりと言ってないでしょう・・・」
二人はげっそりしていた。
マリア・アントニアは、これがフランス特有のしきたり、だと思い知らされたのだ。
心の準備すらしていなかったため、戸惑っていた。
「おはようございます、マリア=アントニア様」
先頭には、ノアイユ夫人をはじめ、二番手の上位侍女たちが構えていた。
ローブ・フランセーズという衣装を身にまとっている。
先頭のノアイユはエンジ色を基調にしたローブ・フランセーズ、レースの手袋をしていた。
「これが、ヴェルサイユ宮殿での生活になります」
ノアイユ夫人はマリア=アントニアを容赦なく見下ろす。
「早くしてくれないかしら?わたし、寒いんだけど?」
起床から朝のミサ、食事や公務までしっかりと監視された。
その合間に着替えをしなければいけない。
おまけに人前で。
「一時間前に来たところなのに?また着替え?わたしは着せ替え人形じゃないのに!」
マリア・アントニアは新しいローブに着替えさせられた。
食事中、あまりの監視にマリア・アントニアは疲労困憊がちだった。
「失礼ですが・・・あまり、見つめるのはお控えいただけたら幸いです・・・」
マリア・アントニアは言いたいところだけれど。
「落ち着いて、食事ができない・・・」
マリア・アントニアは、さりげなく、手を挙げていた。
側近は、タクトを床にたたきつけて、部下に命令をする。
「マリア・アントニア王女様にお飲み物を差し上げよ」
****
5月30日。
パリ市主催の花火大会。
そして、当日。
夜8時、王女アドライッドと一緒に馬車に乗り、パリへと向かった。
花火はルイ15世広場(現在のコンコルド広場)で行われることになっており、早朝から群衆が集まっていた。ジャン=フランソワ・デシャン夫妻、ニコラとクロエ・メンディー夫妻も一緒だった。
クロエに抱かれる幼子ティエリがいる。
セーヌ川には飾り立てた船が何隻も浮かび、広場の噴水にはワインが並々とそそがれ、周囲には無数の松明が灯され、祭典気分は最高潮。
マリア・アントニアを乗せた馬車は、サンクルーとパリをつなぐセーヴル橋に差し掛かった際、花火の音が聞こえた。
「わあ・・・素敵・・・」
感動のあまり、こみ上げてくるものが。
しかし、それは大惨事へ!
「ぎゃあ!!」
「助けて!」
人々があちこちに逃げ回っている。
「何が起こったのかしら?」
ルイ・オーギュストとマリア・アントニアの表情はみるみると青ざめていた。
「火災だ!」
二人を乗せた馬車はヴェルサイユへと引き返すことになった。
「王太子様、マリア・アントニア王女様。非常に悲しい知らせがございます。あの火災により、132人ものの人々が犠牲になりました」
ジャン=フランソワ・デシャンが悲痛な面持ちで報告をしていた。
そのショックからか、マリア・アントニアは寝込んでしまったほど。
「マリア・アントニア・・・」
ルイ・オーギュストもかなり落ち込んでいた。
*****
作者yunaより。
結婚初夜の翌日から、マリア・アントニアはヴェルサイユ特有のしきたりに悩まされます。
ノアイユ夫人は幼いマリア・アントニアの親代わりも務めることになりますが、かなり厳格です。
18世紀のフランスの服飾は、女性にはローブ・フランセーズ、ローブ・アングレーズ、ローブ・ポロネーズ。男性にはアビアラ・フランセーズになります。
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