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Vivre dans la révolution~革命に生きて
処女演説
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「国王陛下、裁判にかけられるそうだ」
ジャン=フランソワ・デシャンは、王党派代表として出席しなければいけなかった。
ディディエたちも一緒に行くことになる。法律大学生であり、勉強の一環。
そこには、ピエール・チュイリエも一緒だった。数学教師でありながら、幼馴染が議員デビューをする、という噂を聞きつけていたようだ。
「感情を表に出したら駄目だぞ。命が危ないからな」
「ウイ。ムッシュ・デシャン」
ジャン=フランソワは、ディディエたちに注意喚起を促していた。
そして、国王裁判がはじまった。
国王の処遇を巡って、国王を断固として擁護するフイヤン党(および王党派)、処刑を求めるジャコバン党と裁判に慎重なジロンド党は対立。長々と議論が続けられていた。膠着状態の中・・・
11月13日・・・
ルイ・アントワーヌ・レオン・ド・サン=ジュストが議員デビュー。25歳だった。
かなり、緊張しているルイ。
「ルイが議員デビューをしたんだ。あいつも、やり手だからな。しかしながら、平坦な道のりではなかった」
ピエールは感心していた。
しかし、周りは冷ややかな目線が容赦なくルイを突き刺した。
「案外、女々しそうな若造だ」
「男色じゃないのか?」
「ジャコバン党の坊やか」
「せっせと、ここから立ち去れよ。田舎町で門前払いを食ったくらいだから、パリで通用するわけがない」
容赦ない野次がルイに投げかけた。
そんな中、ディディエは・・・
「・・・サン=ジュスト先生・・・?」
ディディエは固唾を飲んでいた・・・。
そして、ルイは深呼吸をしながら・・・
『失うものはなにもない』と自分に言い聞かせていた。
「長々とルイ・オーギュスト・カペー元国王に対しての裁判は必要ない。カペーは無能で役立たずだ。人は罪なくして王たりえない。私としてはその中間は認められない。この男は、王として統治すべきか、それとも死ぬか、それ以外はありえない」
ルイの辞書には真ん中は一切ない。信念に反するものに関しては、冷酷な仕打ちも辞さない。
「これは裁判の問題じゃない。ルイはこの世に生かしておく価値はない」
発言を終えたルイ。ディディエはその言葉に・・・
感情を押し殺そうと一生懸命だった。そして、目を合わせないように精一杯そらしていたのだ。
「・・・サン=ジュストさん・・・!?」
「・・・ルイ・・・変わってしまったのか・・・?」
ジロンド党の発言も苛烈だった。国王の処刑は大反対。
「たしかに、国王のやったことは重大です。ただ、全部を負わすのはあんまりです」
1月14日、投票が執り行われた。
国王は有罪であることが賛否、処刑の賛否、国民投票の賛否。議員たちは、必ず、投票をしなければいけなかった。意見を詳しく問いただされる危険性も高い。場合によって、自分たちの運命に左右される危険性も。
その結果、361対360。
国王ルイ16世の処刑は確定。
ルイたちは冷ややかに、判決を聞き入っていた。
「やったぞ!山丘派(モンターニュ)が勝ったんだ!」
ルイとクートンは、喜びをあらわにした。
ジャコバン党は、それを機に、没落まで執権を握っていくことになる。
裁判が終わり、一斉に、現場を後にしていく。
ルイたちも、帰ろうとしたとき・・・
「・・・あれ・・・?どこかで見たことがある・・・?」
ディディエはルイと目線が合いそうになった。
ジャン=フランソワたちに付き添われ、ルイたちを避けながら、外に出た。
ジャン=フランソワはディディエたちの安全を考慮しながら、隙を見てその場を去る、という策に出たが、それも空しかった。
「あれ?どこかで見かけたことがあるようだが・・・?」
ディディエとルイはすれ違っていた。目線を合わさないようにしていた。
兎に角、何食わぬ顔で通りすがろう。
「・・・ディディエ・・・!?まさか・・・?ピエールも・・・?」
ディディエの表情は凍り付いていた。
*****
作者yunaより。
王党派であるディディエ、ジャコバン党最年少のルイ。
いよいよ、二人の関係がどのように発展していくか・・・
その間に、ディディエやルイたちの付近の動向も書きたいと思います。
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